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2007年11月14日 (水)

現代人の疲労8・小児CFS

日経新聞11月6日夕刊に、熊本大学大学院医学薬学研究部・三池輝久教授の「小児CFS」に関する記事がありましたので、要約しておきます。

日常的に疲れを訴える子どもが増えており、睡眠不足やストレスが背景にあり、不登校や引きこもりをおこすとの見方も多い。
しかし、これらの不登校の子どもの多くはCFSにほかならない。
睡眠の慢性的欠乏による体内時計の狂いが原因と考えられ、早寝早起きリズムの回復が必要である。
教授は小児型のCFSが不登校の主因と考えている。
小児科医として多数の子どもたちを診てきたが、1990年ごろ、不登校児の多くがCFSの診断基準を満たすことに気づいた。
何をしても疲れやすく、睡眠障害や学習・記憶能力の低下など共通の症状がみられる。
脳の画像診断では前頭葉の血流が低下していて、中枢神経の機能低下による病的な疲労と考えられる。
大人のCFSと基本的に同じであるが、発育期には注意深い対応が必要である。
私たちは『小児慢性疲労症候群』と名づけ、厚生労働省研究班が2004年に診断基準を作った。
小学生の0.5%、中学生の3%弱が該当し、不登校の小中学生の数(文部科学省調査で約12万人)とほぼ一致する。
いじめられて不登校になった子どもも、いじめがなくなったら学校に行くかというと、そうではない。
心身の不調があって登校できないのである。
不登校を『怠け癖』とか『こころの問題』『親の育て方が悪い』と決めつけるのでなく、体の病気と考えるべきである。

発症の理由は?
症候群と診断された子の80%に過眠型睡眠障害がみられる。
健康なら夜に深部体温が下がり、睡眠を促すホルモンであるメラトニンの分泌量が増える。
しかし、不登校児はこのサイクルが最大半日もずれ昼夜が逆転している。
慢性的な時差ボケ状態で、長時間睡眠にもかかわらず睡眠の質が悪い。
朝になっても社会活動の準備がまったくできていない。
就寝時間が遅くなる一方なのに、部活の早朝練習などで登校時間は早い。
睡眠不足で脳は常にイライラしている。
情報過多や人間関係のストレス、受験勉強の重圧による緊張も加わり、睡眠リズムが破綻してしまう。
その影響が学習・記憶など脳の高次機能に及んでいる。

治療が必要な症状は?
保健室を訪ねたり帰宅後すぐに寝てしまったりする頻度が増えたら小児CFSが疑われる。
この段階なら早く寝るよう指導し、メラトニンを処方して睡眠リズムを元に戻せばよくなることが多い。
登校できない日が週1日以上あれば発症と考えられ、十分休養させたうえで 睡眠薬などの薬物治療を施す。
当病院は午前中に強い光を当てて睡眠リズムを取り戻す高照度光療法を導入し、1力月入院して治療すれば80%の子どもで効果が確認されている。

予後は?
完全な不登校状態になると治療は長引き、5~10年かかることもある。
気長に治療すれば、最終的には7~8割が学校や社会に復帰できる。
慢性疲労の子どもは体内時計が狂い、エネルギー代謝系や免疫系、中枢神経の機能が低下し、生命力が、弱まっている。
部活の早朝練習はやめるべきだし、月曜早朝にアニメ番組を放送するのも控え、休日ぐらいは子どもに十分な睡眠時間を与えたらどうか。
社会全体で対応策を真剣に考えるべきである。

欄外記事 
欧米も共通現象・国際基準策定へ
子どもの不登校は日本で多く見られるが、欧米でも慢性疲労を訴える子どもの増加が報告されている。
国際慢性疲労学会は今年1月、小児型CFSの診断基準作りに乗り出した。
ただ、医学界全体では病気への理解は十分進んでいない。
国内で診療できる機関は日本医科大学千葉北総病院、など少数である。

小児CFSの診断基準(厚労省研究班)
a)原因不明で30日以上続く慢性疲労。休んでも改善せず活動レベルが低下
b)以下のうち主症状2項目を含む4項目以上が該当
〈主症状〉①記憶力・集中力の低下②睡眠異常③疲れやすく、休んでも回復しない④頭痛・頭が重い
く副症状〉①のどの痛み②首やわきの下のリンパ節痛③筋骨格系の痛み④腹痛・吐き気⑤微熱⑥めまい

感想 ここでは、小児CFSの原因として睡眠に関することのみが強調されているが、症状として、のどの痛み、リンパ節痛などがあることを考えると、何らかの感染症も疑う必要がありそうである。

monzennocozoo さん、 sayon_n_n さん、ブログを見て下さってありがとうございました。おだいじに。

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